会社から携帯電話が支給されず、私物のスマホで仕事の連絡を取っている状態に不安を感じていませんか。
結論から言うと、会社に携帯電話の支給を義務づける法律はありませんが、私物端末を業務利用させる以上、会社側にも相応の対応が求められます。
この記事では、経理の現場で長年コスト管理に携わってきた視点から、社用携帯が支給されない場合の考え方と対処法を整理します。
そもそも携帯電話の支給は法律上の義務なのか?
携帯電話支給の法的な位置づけは、法律で直接義務づけられたものではありません。
会社が携帯電話を支給するかどうかは、基本的に会社の裁量に委ねられています。
法律上の直接義務ではないものの、業務に必要な費用は会社が負担すべきという考え方が背景にあります。
中小企業ではどのくらい支給されているのか?
中小企業では、社用携帯を配布している会社は全体の3割程度にとどまるという調査結果もあります。
この数字を見ると、支給されていない状況が珍しくないことが分かります。
- 中小企業の支給率は約3割にとどまる
- 支給しない会社は決して少なくない
法人携帯の普及率-中小は3割が配布:リモートワークの増加とセキュリティで紹介したように、支給しない会社は決して珍しくありません。
業種や規模によって、この割合は大きく変わってきます。
IT業界などでは、比較的支給率が高い傾向も見られます。
私物利用を強制するとどんな問題があるか?
費用負担なく私物端末の業務利用を事実上強制すると、労働条件上の問題として指摘されるおそれがあります。
知らないうちに、こうした問題を抱えている会社も少なくありません。
会社側は、この点を軽視せず、何らかの費用負担の仕組みを用意しておくことが望ましいでしょう。
私物携帯を業務利用させることのリスクは何か?
私物端末利用のリスクは、会社側のセキュリティ管理が及びにくくなることに集約されます。
紛失・盗難時にどんな問題が起きるか?
私物端末が紛失・盗難にあった場合、会社側が遠隔ロックやデータ消去を即座に行うことは難しく、情報漏洩のリスクが高まります。
会社支給の端末であれば、こうした対応もスムーズに行えます。
初動の速さが、被害の大きさを左右することも少なくありません。
社用携帯のアプリ管理とセキュリティ管理で紹介したMDMも、私物端末では同意なく導入することが難しくなります。
本人の同意を得るプロセス自体にも、時間と手間がかかります。
同意が得られなければ、結局は管理の抜け穴が残ってしまいます。
個人情報保護の観点ではどんなリスクがあるか?
端末内に保存された顧客連絡先などは個人情報保護法上の個人データに該当し、紛失時には安全管理義務違反を問われる可能性もあります。
私物端末だからといって、責任が軽くなるわけではありません。
- 顧客連絡先は個人情報保護法上の対象
- 紛失時は安全管理義務違反のおそれも
会社としても、この点を認識したうえで対応を検討する必要があります。
知らなかったでは済まされないリスクだといえます。
経営者や管理者ほど、この点への理解が求められます。
私物利用に対して会社はどう対応すべきか?
会社側の対応の選択肢は、通信手当の支給かBYODポリシーの整備の2つに大別されます。
通信手当を支給する場合はどうすべきか?
月額の通信手当を支給する会社は多く、金額は月額1,000円〜5,000円程度が相場とされています。
業種や役職によって、金額に幅を持たせる会社もあります。
- 業種や役職で金額に差をつける会社も
- 方針は会社ごとにさまざま
一律にするか役職ごとに変えるかは、会社の方針次第です。
どちらを選んでも、決めた基準を明文化しておくことが大切です。
月額1,000円〜5,000円という相場は、業務での利用頻度によって調整されることもあります。
BYODポリシーには何を盛り込むべきか?
セキュリティ対策への同意やプライバシーの境界を明文化したBYODポリシーを整備しておくことで、トラブルを未然に防げます。
口頭での運用だけでは、後からの認識違いを防ぎきれません。
書面にしておくことで、双方が同じ認識を持ちやすくなります。

従業員側はどう対応すればいいか?
従業員側の対応は、まず会社に現状を相談してみることから始まります。
会社に相談する際のポイントは?
費用負担がない現状を伝え、通信手当の支給や社用携帯への切り替えを相談してみる価値はあります。
同じ悩みを抱えている同僚がいれば、一緒に相談するのも効果的です。
個人で訴えるより、複数人の声のほうが会社も動きやすくなります。
- 現状を具体的に伝えて相談する
- 手当か端末支給かの選択肢を示す
感情的に訴えるより、具体的な利用状況を示したほうが交渉はスムーズです。
通信量や利用時間のデータがあれば、より説得力が増します。
感覚的な訴えより、数字による裏付けのほうが伝わりやすいものです。
相談しても改善されない場合はどうすべきか?
改善が見込めない場合は、業務用の番号を格安SIMで別途用意し、私用と業務用を分けるという方法も現実的です。
自己負担ではあるものの、精神的な区切りをつけやすくなります。
私用と業務用の分離は、費用は自己負担でも、精神的な安心感につながる方法のひとつです。
会社が社用携帯を導入する際の判断基準は?
導入を判断する基準は、業務内容とリスクの大きさを天秤にかけることです。
どんな業種で導入が進みやすいか?
顧客の個人情報を多く扱う業種や、外勤が多い営業職では、社用携帯の導入によるリスク低減効果が大きくなります。
業種によっては、導入コスト以上のリスク回避効果が期待できます。
- 業種によっては導入効果が大きい
- 数字に表れない安心感も後押しに
数字だけでは測れない安心感も、導入の後押しになります。
経営者の判断材料として、この安心感は意外と大きな比重を占めます。
法人携帯の料金プランを比較すると、想定より低コストで導入できるプランが見つかることもあります。
コスト面ではどう判断すべきか?
通信手当を支給し続けるコストと、社用携帯を導入するコストを比較したうえで、長期的に有利な方を選ぶ会社も増えています。
数年単位で試算すると、意外な結果が見えてくることもあります。
短期的な視点だけで判断すると、見誤ることもあるため注意が必要です。
手当をもらう場合、税金の扱いはどうなるか?
通信手当の税務上の扱いは、支給方法によって課税・非課税が変わってきます。
定額の手当は課税対象になるのか?
一律○○円という形で定額支給される通信手当は、原則として給与とみなされ課税対象になります。
この点を知らずに手当を設計している会社も少なくありません。
税務調査で指摘されて初めて気づくケースもあるようです。
- 定額手当は原則として給与課税の対象
- 実費精算は非課税になるケースも
一方で、実際の利用明細に基づいて算出した実費精算分は、非課税として扱われるケースもあります。
ただし算出方法には一定のルールがあるため、事前の確認が欠かせません。
顧問税理士に確認しながら設計するのが安心です。
実費精算はなぜ普及していないのか?
通話明細の提出を求められることへの抵抗感や、毎月の計算の手間から、実費精算ではなく定額手当を選ぶ会社が多いのが実情です。
事務負担と税務上の有利さ、どちらを優先するかは会社ごとの判断になります。
定額手当を選ぶ会社が多いのは、事務負担を軽くしたいという事情もあります。
まとめ:「社用携帯が支給されない会社はどうすべきか」
社用携帯の支給は法律上の義務ではないものの、私物端末を業務利用させる以上、通信手当やBYODポリシーなどの対応が望ましいといえます。
従業員側も、費用負担や情報漏洩のリスクについて、一度会社に相談してみる価値は十分にあります。
今回のポイントを、改めて簡単に整理しておきます。
- 携帯電話支給は法律上の義務ではない
- 私物端末利用にはセキュリティ面のリスクが伴う
- 通信手当やBYODポリシーの整備が現実的な対応策
経理の現場で数多くのコスト管理を見てきた立場から言えば、通信手当の支給か社用携帯の導入かは、リスクとコストを数字で比較して判断すべきだと感じています。
自社の携帯電話の支給状況を今一度確認し、必要であれば見直してみてください。
最新の料金プランをよく確認したうえで、自社に合った契約先を選んでみてください。










