在宅勤務手当を支給しているけれど、通信費の扱いが課税対象になるのか気になっていませんか。
結論から言うと、一律支給の手当は課税対象になりますが、実費相当額を計算式に基づいて精算すれば非課税にできます。
この記事では、経理の現場で長年コスト管理に携わってきた視点から、在宅勤務手当と通信費の税務上の扱いを整理します。
在宅勤務手当は課税対象になるのか?
課税対象かどうかの分かれ目は、一律支給か実費精算かという支給方法の違いです。
この違いを知らないまま手当を設計すると、後から思わぬ課税リスクに気づくことになります。
在宅勤務が広がった直後は、この違いを意識せずに手当を設計してしまった会社も少なくありません。
- 支給方法によって課税の扱いが変わる
- 設計時点での見極めが重要になる
一律支給が課税対象になるのはなぜか?
毎月一律5,000円を渡し切りで支給するような方法は、業務利用分との対応関係が説明できないため、給与とみなされます。
金額の大小にかかわらず、精算の仕組みがないこと自体が課税対象と判断される決め手になります。
税務署から見れば、実質的に給与を上乗せしているのと変わらない扱いになるわけです。
後から仕組みを見直そうとすると、給与規程の変更手続きが必要になることもあります。
最初の設計段階でしっかり検討しておくことが、後々の手間を減らす近道です。
途中で方針を変えると、過去に遡って対応を求められる可能性も否定できません。
- 設計段階での検討が手間を減らす
- 途中変更は遡及対応の可能性も
社員への説明も含めて、変更には一定の準備期間を見込んでおくべきでしょう。
実費精算とはどんな方法なのか?
実際に業務で使った通信費相当額を、国税庁が示す計算式に基づいて算出し、その部分だけを精算する方法です。
- 実費精算は業務利用分のみを算出
- 一律支給より事務作業がやや増える
領収書や利用明細をもとに算出するため、一律支給に比べて事務作業はやや増える傾向があります。
その手間を惜しまなければ、税務上のリスクを大きく減らすことができます。
面倒に感じても、正しい手順を踏むことが結果的に会社を守ることにつながります。
- 実費精算は事務作業がやや増える
- 手間をかける分リスクを減らせる
一時的な負担を将来の安心と引き換えにする、という発想で取り組むとよいでしょう。
- 利用明細をもとに実費を算出する
- 一律支給より事務作業は増える
とはいえ一度フォーマットを作ってしまえば、毎月の負担はそれほど大きくありません。
最初の数か月だけ丁寧に運用すれば、その後は自然と定着していきます。
個人携帯の業務利用に手当がない場合はどうすべきか?相場と対処法を解説で紹介した内容ともあわせて確認しておくとよいでしょう。
非課税額はどのように計算するのか?
非課税額の計算式は、月の基本料金に在宅勤務日数の割合と2分の1を掛け合わせる方法です。
一見すると細かい計算に見えますが、慣れれば数分で終わる作業です。
初めて計算式を見た担当者ほど、複雑に感じてしまうことが多いようです。
- 初見では複雑に感じられやすい
- 慣れれば機械的に処理できる
慣れてしまえば決して難しい計算ではなく、機械的に処理できるようになります。
具体的な計算式はどうなっているのか?
「月額基本料金×(在宅勤務日数÷その月の日数)×2分の1」という式で算出し、1円未満は切り上げで処理します。
- 式は基本料金×日数割合×2分の1
- 1円未満は切り上げで処理する
式自体はシンプルなので、一度覚えてしまえば毎回悩む必要はありません。
一度エクセルなどで計算シートを作っておけば、毎月の作業はかなり簡略化できます。
関数を組んでおけば、日数を入力するだけで自動的に金額が算出されます。
- 計算シートを一度作れば運用が楽になる
- 日数入力だけで自動算出できる
社員ごとに在宅日数を入力するだけで自動計算できる仕組みにしておくと便利です。
なぜ2分の1を掛けるのか?
1日24時間のうち、睡眠時間8時間を除いた16時間に対する労働時間8時間の割合が2分の1であるという考え方に基づいています。
- 非睡眠時間に占める労働時間の割合が根拠
- 端数は1円未満を切り上げて計算する
この考え方を理解しておくと、計算結果に対する納得感も高まります。
- 2分の1の根拠は非睡眠時間との比率
- 資料に残しておけば説明に困らない
根拠となる考え方を資料に残しておけば、担当者が変わっても説明に困りません。
数字の根拠を説明できるようにしておくことで、社員からの信頼も得やすくなります。
根拠があいまいなまま運用すると、社員からの疑問に答えられなくなってしまいます。
- 根拠を説明できると信頼を得やすい
- 理屈を理解して運用することが大切
理屈を知らずに計算式だけ覚えていると、社員から質問された時に困ってしまいます。
通話料はどう扱えばよいのか?
通話料の扱いは、基本料金の計算式とは別に実費で精算するという点です。
基本料金と同じ計算式を当てはめてしまうと、正しい非課税額が算出できません。
基本料金と通話料で扱いが分かれることを知らず、まとめて計算してしまうミスも見られます。
業務通話分はどう切り分けるのか?
明細から業務利用分の通話料を特定できれば、その金額をそのまま非課税で精算できます。
面倒に見える確認作業も、仕組み化してしまえば大きな負担にはなりません。
- 業務通話分は明細から特定する
- 特定できれば実費を非課税精算
通話相手や時間帯から業務利用かどうかを判断する社員も多いようです。
判断基準をあらかじめ共有しておけば、社員ごとの解釈のずれを防げます。
明確な線引きがないと、精算のたびに担当者が個別対応に追われてしまいます。
- 明細から業務通話分を特定する
- 判断基準を事前に共有しておく
私用と業務が混在する場合はどうするのか?
私用と業務が混在する場合は、合理的な基準で按分し、業務分のみを精算対象とする必要があります。
按分の根拠をあらかじめ決めておかないと、精算のたびに判断がぶれてしまいます。
- 私用と業務混在時は按分が必要
- 按分基準は事前に決めておく
判断基準を文書化しておけば、担当者が変わっても一貫した運用ができます。
社内で統一した按分ルールを一つ決めておくだけでも、担当者間の差異を防げます。
会社契約の携帯電話にも同じ計算式が使えるのか?
会社契約の場合の扱いは、そもそも社員への金銭の支払いが発生しない点が個人携帯とは異なります。
前提条件が異なる以上、同じ感覚で処理しようとすると誤解が生じやすくなります。
この違いを理解していないと、不要な計算作業を増やしてしまうことにもなりかねません。
なぜ会社契約なら課税問題が生じにくいのか?
会社がキャリアへ直接料金を支払う仕組みでは、社員個人への金銭移転がないため給与課税の論点自体が生じにくいと考えられます。
- 会社が直接支払う場合は論点が生じにくい
- 個人携帯の実費精算とは前提が異なる
とはいえ私的利用分が大きい場合は、別途按分を検討したほうが安全です。
会社携帯であっても、私的利用の程度によっては注意が必要になることがあります。
過度な私的利用が常態化していないか、定期的に確認しておくと安心です。
- 会社契約は金銭移転がなく論点が生じにくい
- 私的利用が大きい場合は別途注意
法人携帯・スマホの経費処理:10万円以上は減価償却が必要?で紹介した内容とあわせて理解しておくと安心です。
この解釈は確定しているのか?
この点はFAQが個人携帯の実費精算を主な想定としているため、確定的な公式見解とまでは言い切れず、専門家への確認が望ましいところです。
グレーな部分を放置せず、早めに専門家の見解を得ておくことをおすすめします。
- 公式見解が確定していない点に注意
- グレーな部分は専門家に確認する
判断に迷うケースでは、自己判断で進めず顧問税理士に相談する方が安全です。
税務調査で指摘を受けてから慌てるより、事前確認しておいたほうが結果的に安心です。
電気代など他の費用も同じ考え方なのか?
他の費用との共通点は、電気代や水道代にも似た考え方の計算式が用意されていることです。
通信費だけを個別に考えるより、在宅勤務コスト全体として捉えたほうが理解しやすくなります。
複数の費用項目を横断して理解しておくと、在宅勤務全体の精算業務がスムーズになります。
電気代の非課税額はどう計算するのか?
電気代についても、床面積の割合や在宅日数をもとにした計算式が国税庁のFAQで示されています。
按分計算という考え方そのものは、通信費に限らずさまざまな経費に共通する発想です。
- 電気代にも按分計算の考え方がある
- 床面積と在宅日数が計算の基準
自宅の間取り図をもとに床面積を算出しておくと、計算の根拠として説明しやすくなります。
賃貸か持ち家かによっても、根拠資料の準備の仕方が変わってきます。
引っ越しがあった場合は、面積の再計算を忘れないようにしましょう。
まとめて計算・精算してもよいのか?
通信費・電気代をまとめて一つの計算シートで管理すれば、毎月の精算作業を効率化しやすくなります。
項目を分散させず一元化することで、確認作業の抜け漏れも防ぎやすくなります。
複数の担当者で分担している場合ほど、この一元化の効果は大きくなります。
- 通信費と電気代を一元管理する
- 担当者が複数いる場合ほど効果的
項目ごとにバラバラに管理するより、担当者の負担を大きく減らせます。
就業規則にはどう定めればよいか?
就業規則への記載は、支給方法と計算根拠を明確にしておくことです。
口頭での運用だけに頼っていると、担当者が変わった際に混乱が生じやすくなります。
規程の見直し時期をあらかじめ決めておくと、実態とのずれも防ぎやすくなります。
- 就業規則への明記で説明が一貫する
- 見直し時期をあらかじめ決めておく
規程に明記しておくことで、社員からの問い合わせにも一貫した説明ができるようになります。
精算の頻度はどうすればよいか?
法人携帯の料金プランを比較する際にあわせて、月次での精算フローを整備しておくと運用しやすくなります。
精算のタイミングを給与計算のスケジュールに合わせておくと、事務作業が二度手間になりません。
スケジュールがずれると、月をまたいだ修正作業が発生しやすくなります。
- 月次での精算フローを整備する
- 給与計算のスケジュールに合わせる
証憑の保存はどうすべきか?
計算根拠となる利用明細や在宅勤務日数の記録は、税務調査に備えて一定期間保存しておくことが望ましいです。
保存期間は会社の文書管理規程にあわせて決めておくとよいでしょう。
デジタル化しておけば、保管スペースの心配も不要になります。
- 利用明細と在宅日数の記録を保存
- 税務調査に備えて一定期間残す
保存形式を統一しておけば、必要な時にすぐ取り出せて安心です。
紙とデータが混在していると、いざという時に探す手間が増えてしまいます。
クラウド上で一括管理しておけば、担当者不在の際にも対応しやすくなります。
まとめ:「在宅勤務手当の通信費は非課税にできるか」
在宅勤務手当は一律支給なら課税対象ですが、国税庁の計算式に基づく実費精算なら非課税にできます。
会社契約の携帯電話であれば課税問題自体が生じにくいものの、専門家への確認も踏まえて運用することをおすすめします。
今回のポイントを、改めて簡単に整理しておきます。
- 一律支給の手当は給与として課税対象
- 実費精算なら計算式に基づき非課税にできる
- 会社契約の携帯なら課税問題が生じにくい
制度を正しく理解しておくことが、社員との信頼関係を保つうえでも役立ちます。
経理の現場で数多くのコスト管理を見てきた立場から言えば、計算式を正しく理解しておくことが余計な課税トラブルを防ぐ近道だと感じています。
この記事を読んでくださった皆さまに感謝するとともに、在宅勤務の手当運用がすっきり整理され、安心して働ける環境につながることを願っています。

