社員が運転中に社用携帯で通話していて事故を起こしたら、会社の責任になるのか気になっていませんか。
結論から言うと、業務中の事故であれば使用者責任を問われる可能性が高く、会社としてルール整備が欠かせません。
この記事では、経理の現場で長年コスト管理に携わってきた視点から、社用携帯の運転中利用にまつわる会社のリスクを整理します。
ながら運転の罰則はどうなっているのか?
ながら運転の罰則は、2019年12月の改正で大幅に厳罰化されています。
社用携帯を使う社員が多い会社ほど、この改正内容を正しく把握しておく必要があります。
- 2019年12月に罰則が大幅強化された
- 社内周知が不十分だと違反が増える
社内での周知が不十分だと、知らないうちに違反を重ねてしまう社員も出てきます。
改正前と比べて罰則の重さが大きく変わったことを、知らない人も少なくありません。
- 2019年12月の改正で厳罰化された
- 以前より重い違反として扱われる
以前は軽い注意で済んでいた行為が、今では重大な違反として扱われます。
社員研修の内容も、この改正を踏まえて見直しておく必要があります。
事故につながった場合はどうなるのか?
交通の危険を生じさせた場合は、6点で即免許停止となり、1年以下の懲役または30万円以下の罰金という重い扱いになります。
わずかな油断が、これほど重い代償につながることを改めて意識すべきです。
反則金制度の対象外となり、刑事手続きに進む点も見逃せないポイントです。
- 危険発生時は刑事手続きに進む
- 前科がつく可能性も否定できない
前科がつく可能性があるという事実は、社員にとっても重く受け止めるべき内容です。
軽い気持ちで手に取った携帯が、人生を左右する結果につながることもあります。
会社としても、社員がこうしたリスクを負っている自覚を持てるよう周知が必要です。
一瞬の操作が、免許停止という重い結果を招くこともあると心得ておくべきです。
免許停止になれば、業務そのものに支障が出る社員も少なくないでしょう。
- ハンズフリーでも安全運転義務は残る
- 業務車両ほど会社の責任が問われやすい
業務に使う車両であれば、なおさら会社としての管理責任が問われやすくなります。
日常的に車を使う営業職ほど、リスクが高まりやすい点にも注意が必要です。
ハンズフリーなら問題ないのか?
Bluetoothなどのハンズフリー通話自体は規制対象外ですが、注意散漫による安全運転義務違反に問われる可能性は残ります。
通話に気を取られて反応が遅れるリスクは、手が塞がっていなくても変わりません。
視覚だけでなく、思考の一部が通話に取られること自体がリスクの本質です。
- ハンズフリー自体は規制対象外
- 注意散漫による違反リスクは残る
法律上の扱いと実際の安全性は、必ずしも一致しないことを理解しておく必要があります。
会社としては、法律の最低ラインより一歩踏み込んだルールを設ける姿勢が望まれます。
- 停止中の操作は例外的に認められる
- 過信すると事故につながりやすい
規制対象外だからといって、事故のリスクがなくなるわけではありません。
法律の網の目をくぐるような運用は、結局のところ会社の首を絞めることになります。
停止中ならスマホを操作してよいのか?
停止中の扱いは、完全に停止している場合は例外的に操作が認められている点です。
- 完全停止時のみ操作が認められる
- 過信は思わぬトラブルの原因に
とはいえ、この例外を過信すると思わぬトラブルにつながりかねません。
「停止中だから大丈夫」という油断が、そのまま事故につながることもあります。
例外があるとはいえ、積極的に活用すべき規定ではありません。
信号待ちなら大丈夫なのか?
法律上は停止中の操作が除外されていますが、あくまで限定的な例外であり安全な運用とは言えません。
例外規定を根拠にルールを緩めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまりかねません。
会社としてどう指導すべきか?
停止中であっても、原則として運転中は携帯に触れないというルールを徹底したほうが安全です。
信号のタイミングを完全に予測することは、誰にとっても難しいものです。
「停止中ならOK」という例外を設けること自体が、判断ミスの種になりがちです。
- 停止中でも携帯操作は控えるよう指導
- 例外を設けないほうがミスを防げる
シンプルなルールほど、現場で徹底しやすいという利点もあります。
複雑なルールは形骸化しやすく、いざという時に守られないことも多いものです。
- 停止中でも携帯操作は控えるよう指導
- 例外を設けないほうがミスを防げる
例外を細かく設定するほど、現場での判断が複雑になってしまいます。
判断に迷う場面をなくすことが、結果的に事故防止につながります。
業務中の事故で会社の責任は問われるのか?
会社の責任は、民法715条の使用者責任を問われる可能性が高いという点です。
- 民法715条が根拠となる仕組み
- 適用範囲は広く解釈されている
条文自体はシンプルですが、実際の適用範囲は意外と広く解釈されている点に注意が必要です。
- 民法715条が根拠となる仕組み
- 適用範囲は広く解釈されている
一つの条文が、会社経営に大きな影響を及ぼす可能性を秘めているわけです。
日頃から意識しておくかどうかで、いざという時の対応力が大きく変わります。
自分の会社には関係ないと考えている経営者ほど、注意が必要かもしれません。
使用者責任とはどんな仕組みなのか?
従業員が業務中に第三者へ損害を与えた場合、社用携帯を紛失したらクビになるのかで紹介したような労務上の責任とは別に、会社が損害賠償責任を負う仕組みです。
被害者を保護するための制度である以上、会社側の言い分はなかなか通りにくい構造です。
会社側の選任・監督に落ち度がなかったことを立証するのは、実務上非常に難しいとされています。
- 業務中の事故は会社にも責任が及ぶ
- 選任・監督の落ち度立証は困難
業務としての運転かどうかの線引きも、実際にはかなり広く解釈される傾向があります。
- 業務中の事故は会社にも責任が及ぶ
- 選任・監督の落ち度立証は困難
会社側が「業務外だった」と主張しても、簡単には認められないのが実情です。
通勤中の事故であっても、状況次第では業務性が認められることがあります。
業務との関連性が少しでもあれば、会社の責任範囲に含まれる可能性が出てきます。
免責される余地はあるのか?
判例上、使用者責任の免責が認められるケースは極めて限定的で、ほぼ会社側が責任を負う運用になっています。
過去の判例を見ても、会社側の主張が認められた例はごくわずかにとどまります。
「知らなかった」という言い分は、ほとんど通用しないと考えておいたほうが安全です。
業界団体はどんな対策を求めているのか?
業界団体の動きは、運転中の携帯使用を明確に禁止する通達を出していることです。
- 運転中の使用を禁止する通達がある
- 業界の取り組みが社会全体に波及
業界単位での取り組みは、社会全体の意識を変える大きな力になります。
一つの業界の動きが、他業種にも波及していくきっかけになることもあります。
業界を挙げた取り組みは、他の業種にとっても参考になる先行事例です。
トラック業界の対応はどうなっているのか?
全日本トラック協会は、運転中のスマートフォン使用を禁止する通知を会員事業者に出しています。
業界団体が動くことで、加盟企業全体の意識も底上げされる効果が期待できます。
- トラック協会が使用禁止を通知
- 業種を超えた取り組みが広がる
営業車を多く抱える会社はどうすべきか?
法人携帯の料金プランを比較する際にあわせて、車両を使う社員向けの運転中利用ルールも整備しておくと安心です。
営業車の台数が多い会社ほど、事故リスクの総量も大きくなることを意識すべきです。
車両管理の一環として、携帯利用ルールも定期的に見直しておくとよいでしょう。
事故統計はどうなっているのか?
事故統計の傾向は、ながらスマホによる重大事故が過去最多水準にあることです。
- ながらスマホの重大事故が過去最多に
- 企業のリスク管理としても軽視できない
年々深刻化しているこの傾向は、企業のリスク管理としても無視できません。
数字で見ると、リスクの大きさがより実感しやすくなります。
漠然とした不安より、具体的な統計のほうが説得力を持って伝わります。
最近のデータはどうなっているのか?
2025年には、ながらスマホによる重大事故が統計開始以来最多となる水準を記録しています。
- 2025年は統計開始以来最多を記録
- 重大事故の増加傾向が続いている
年々増加している傾向は、社会全体の課題として捉える必要があります。
スマートフォンの普及とともに、この種の事故も比例して増えてきた印象があります。
致死率はどのくらい変わるのか?
通常の運転と比べて致死率が数倍に高まるとするデータもあり、社員の安全確保という観点でも軽視できません。
- 致死率は通常運転の数倍に高まる
- 安全確保の観点からも軽視できない
数字を示しながら説明することで、社員の危機感もより高まりやすくなります。
- 致死率は通常運転より大幅に高まる
- 具体的な数字で危機感を共有する
朝礼などの短い時間を使って、こうしたデータを共有するのも良い方法です。
抽象的な注意喚起より、具体的な数字のほうが記憶に残りやすいものです。
社員の命に関わる問題である以上、コストの問題以上に重視すべき論点です。
会社としてどんなルールを整備すべきか?
整備すべきルールは、運転中は原則携帯に触れないという明文化されたルールです。
- 運転中は原則携帯に触れないルール
- 明文化された規定として整備する
シンプルな原則を徹底することが、結果的に最も効果的な対策になります。
複雑な例外規定を設けるより、一律のルールのほうが浸透しやすい傾向があります。
口頭での注意喚起だけでは、時間の経過とともに形骸化しやすくなります。
誓約書に盛り込むべき内容は何か?
社用携帯の誓約書には何を書くべきか?テンプレートと記載例で紹介した内容も参考に、運転中の携帯利用禁止を明記し、違反時の対応もあわせて定めておくとよいでしょう。
- 運転中の利用禁止を誓約書に明記
- 違反時の対応もあわせて定める
ハンズフリー機材の導入は必要か?
どうしても運転中の連絡が必要な業務であれば、ハンズフリー機材の導入も検討する価値があります。
- ハンズフリー機材の導入を検討する
- 車載機材を統一し対応のばらつきを防ぐ
車載機材を統一しておけば、社員ごとの対応のばらつきも防ぎやすくなります。
導入コストと事故リスクを天秤にかければ、決して高い投資ではないはずです。
事故一件にかかる対応コストを考えれば、予防のための投資は割安と言えます。
まとめ:「社用携帯の運転中利用と会社の責任」
社用携帯を運転中に使用しての事故は、会社が使用者責任を問われる可能性が高く、事前のルール整備が不可欠です。
ながら運転の罰則は厳しく、事故時の社会的影響も大きいため、明文化されたルールと社員教育を両輪で進めましょう。
今回のポイントを、改めて簡単に整理しておきます。
- ながら運転は厳罰化され最大30万円以下の罰金も
- 業務中の事故は使用者責任を問われやすい
- 運転中は携帯に触れないルールの明文化が有効
経理の現場で数多くのコスト管理を見てきた立場から言えば、事故対応コストを考えれば事前のルール整備は安い投資だと感じています。
小さな習慣の積み重ねが、大きな事故を防ぐ最も確実な方法です。
- ハンズフリーでも注意義務は変わらない
- ルールと教育の両輪が重要になる
知っているようで意外と見落としがちな論点も多く、定期的な確認をおすすめします。
最後までお読みいただいた皆さまに感謝申し上げるとともに、安全なルール作りが進み、社員も会社も安心できる毎日になることを願っています。


